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バンクシアの響き

時代が急展開している今、
人間社会の新旧交代にまつわる出来事の本質をトータルヘルスデザイン 近藤洋一が考察します。

4月 体と心と宇宙を結ぶ(1)

ワニとウマとヒト

人間、生きているとさまざまな葛藤が生まれ、何かと悩みが尽きないものですが、それは人間の体内に「ワニとウマとヒト」が同居しているからなのだという考え方があります。
 これは何を意味しているのでしょうか?
 私たちは爬虫類から哺乳類、そして人間へと進化の道を歩んで現在地にたどり着き、その記憶が私たちの脳の構造に残っていると言われています。すなわち、私たちの脳は、爬虫類の脳(脳幹)、哺乳類の脳(大脳旧皮質)、人間の脳(大脳新皮質)という3層構造からなっていて、爬虫類から哺乳類を経て人間にいたるまでの進化の跡をとどめているというのです。《ワニ》の宿っている脳すなわち『脳幹』は、呼吸、血流、心拍、ホルモン分泌、神経伝達など生命の根幹を司っていて、人がたくましく生きていく上で、とてつもなく大切な役割を果たしていることが知られています。その昔、TVで「必殺仕置人」という番組をやっていました。吹き矢の達人が、吹き矢をフッとひと吹きすると、見事、後頭部の急所『脳幹』に命中し、やられた人は一瞬のうちに絶命するというものでした。《ワニ》すなわち爬虫類の脳『脳幹』は宇宙の情報をキャッチし、人の命の根本を支えている非常に大切な器官なので、ここを傷つけることは即、死を意味することになります。長寿社会を迎えつつあるその一方で、脳幹の働きが弱まっているのではないかと思えるような若者や子どもが増えているように感じられるのは気になるところです。
 《ウマ》すなわち『大脳旧皮質』は哺乳類が進化する過程で育まれた脳と言われていて、ウマはその象徴です。哺乳類の脳は本能的な感情を司っていると言われています。マイナスの感情にとらわれることなく、プラスの感情を呼び覚ますことができれば、楽しい人生が約束されていることになるのです。イキイキと "よく笑い、よく遊び、よく仕事をする" ことによって哺乳類の脳を活性化したいものですね。
 そして進化の最後に現れるのが霊長類を代表する《ヒト》の脳・『大脳新皮質』です。この《ヒト》の脳のおかげで、判断、分析、創造など人間だけに高度な精神活動を営むことができる特権を与えられているのですが、マイナスに働くと、悩み、悲しみを生み出し、苦悩に満ちた人生のもとにもなるのですから厄介ですね。
 それぞれの脳がそれぞれに与えられた肯定的な役割を100%発揮することができれば、素晴らしい人生が展開することになるのですが、なかなかそうはいかないのがつらいところです。ワニとウマとヒトが同居して、お互い好きなことを主張するとなると、葛藤は尽きないということになるのでしょうね。現代に生きる私たち一人ひとりはここにこうして存在しているのが当たり前と思ってしまいがちですが、人類が爬虫類、哺乳類、そして人間へと、何億年という長い年月を経て進化し、いま現在にたどり着いた、そのすべての過程を追体験して生まれてきているということに眼を向けると、また別の世界が見えてくるのではないでしょうか?一人の人が生まれてくるに際しても、人類が進化する過程でたどった道のりをお母さんのおなかの中で追体験して生まれてくる―すなわち「個体発生は系統発生を繰り返す」と言われていますが、その証拠が脳の構造に刻まれているのです。