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バンクシアの響き

時代が急展開している今、
人間社会の新旧交代にまつわる出来事の本質をトータルヘルスデザイン 近藤洋一が考察します。

ロコモティブ・シンドローム

 超高齢化社会に突入した日本ですが、いかに健康で長寿を全うするかが、いまや喫緊の課題になりつつあるようです。
 このことと関連して、最近「ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)」という言葉を見聞きするようになりました。いま何が起こっているのでしょうか?

体性神経系と自律神経系

 私たちの体には、外部環境に適応していくための器官と内部環境を整えるために働く器官が備わっています。
 外部環境に適応していくための器官は、筋肉、骨、関節などの運動器官と視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などの感覚器官からなっていて、「体性神経系」によってコントロールされています。
 「ロコモティブ・シンドローム」は、筋肉、骨、関節などの運動器官に障害が起き、立ち居振る舞い、歩行などの移動が満足に行えない状態を指しています。
 2010年における厚生労働省の調査によりますと、75歳以上の寝たきり介護の要因は、運動器官の疾患によるものが第一位で、脳血管疾患を上回っています。
 これら運動器官は徐々に機能が低下していくため、自分では気づきにくいものなのですが、「ロコモティブ・シンドローム」の兆候は、転倒や骨折、関節や脊椎の障害などをきっかけに、30〜40代の人から出ているので注意が必要だとされています。
 私たち現代人が追求している健康増進のための方法は、オリンピックを頂点とするスポーツ競技がモデルとなっているように思われます。
 スポーツ競技におけるトレーニングは、腕や足を鍛えたスポーツ選手を対象として、「いかに速く走り、いかに高く跳び、いかに強くなる」か、すなわち一瞬のうちにいかにエネルギーを爆発させるか、をテーマとして組み立てられています。
 高齢者の健康法とスポーツ競技のトレーニングとは、その本質が全く異なるものなのですが、高齢者はついつい華やかさに目がいってしまって、“ガンバロー精神”が出てきたりするので注意が必要です。
 スポーツ競技の主役・運動器官をコントロールしている「体性神経系」とは別に、人間の体には、「自律神経系」が内部環境を整え、細胞組織を円滑に働かせるという重要な役割を担って、四六時中休むことなく働いているのですが、ついつい忘れられがちのように思います。
 このことについて以下整理しておくことにいたします。


体性神経系と自律神経系

 外部環境に適応していくための器官は、筋肉、骨、関節などの運動器官と視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった感覚器官で構成されていて動物性器官と呼ばれています。これらの器官は脳の中の運動をつかさどる“指令室”でコントロールされていて、体性神経系と呼ばれています。
・野球やサッカーをしているときなど、いま何をするべきなのかという脳からの指令が電気的なインパルスとして、各筋肉に送り届けられ、筋肉の活動が行われることになります。“随意運動”です。
・もう一つこれとは逆のルートがあります。暑い、寒い、痛いなど、外界からの刺激が感覚情報として脳の“指令室”に送り届けられます。脳の中で情報処理がすむと、それに応じた筋肉活動が開始されることになります。
 突然石が飛んできた、熱いものに手が触れた、といった時など、とっさに“反射的な筋肉活動”が引き起こされます。
 「動物性器官」は、大脳皮質、運動神経・知覚神経、筋肉、感覚器官という機構を通じて、外界と意思によって接触しているのです。
 40歳以上の人がスポーツ競技に取り組む際には、スポーツ競技というのは、いかに短時間のうちにエネルギーを爆発させるかを本質とするものであるということを意識し、大いに意思の力を働かせ、細心の注意を払う必要があるということになります。
 歳をとればとるほど、感覚も鈍くなり、筋肉活動も円滑にいかなくなるわけですから、「ロコモティブ・シンドローム」のことを意識し、無理をしないようにしたいものですね。