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バンクシアの響き

時代が急展開している今、
人間社会の新旧交代にまつわる出来事の本質をトータルヘルスデザイン 近藤洋一が考察します。

お伊勢さん(3)

昨年10月「もう一つのお伊勢さん」という旗印を掲げて、お客様と一緒に、お伊勢さんの旅を楽しんできたのですが、今年も5月にお伊勢さんの旅を楽しんでまいりました。
 特別ゲストとして増川いづみさんをお招きし、サウンドヒーリングの技術をご披露していただき、大いに楽しませていただきました。
 これからも、様々な分野の特別ゲストをお招きし、“お伊勢さんの旅”を毎年続けていきたいと思っています。そこで今なぜ“お伊勢さんなのか”について触れさせていただくことにいたします。

瑞々しく生きる

 伊勢神宮では、20年ごとに内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)、そして14の別宮のすべての社殿を造りかえる、式年遷宮がおよそ1,300年の長きにわたって行われています。
 日本及び日本民族が常に若々しく、未来永劫、発展してやまないという「常若の思想」が伝承されているのです。
 一口に1,300年と言いますが、1,000年にわたって続いている行事は、世界中どこを探しても見当たらないのではないでしょうか?
 治乱興亡を繰り返し、平和な時代が長続きすることのないというのが、人間の歴史であったように思います。そんな人間世界にあって、1,000年以上原形をとどめている国は、徳の高い国と言 ってよいと思います。
 それでは伊勢神宮を常に瑞々しく輝かせている“常若の思想”の原点はいったい何なのでしょうか?
 立花大敬先生の文章に“瑞々しさ”の原点があるように思いますのでご紹介させていただきます。

光がそそぎ 雨が降り 草木が育つ
そう観るのは 間違いである
はじめに“いのち”があり
成長への激しい衝動があって
光でも水でも養分でも
必要などんなものでも。

次々手元に引き寄せて
育ってゆくのだ
あなたもまた
そんな、激しくたくましい
“いのち”であることを
忘れてはいけない

宇宙いっぱいのものが
君となって生きている
宇宙いっぱいのものが
君を通して表現されてゆく
君が君であること
それ以上に尊いことがあろうか
君が君であればあるほど
宇宙であり
君からはい出ようとするほど
ちっぽけになる

「常若の思想」が伝承されている伊勢神宮参拝を通して、自分自身に気づく“お伊勢さんツアー”なのでした。

神様をお守りする森

内宮・外宮をはじめ125の社よりなるお伊勢さんは、東京ドーム1,500個分、約5,500haにも及ぶ、神代の代から引き継がれてきた森を、神楽の庭として、常に若々しい姿を見せてくれます。
 古来より、森は神の宿る聖なる樹林として、すなわち神と人間との接点として、日本文化の基礎をつくる貴重な場であり続けてきたように思います。鎮守の森という言葉で象徴されますように、動植物の生きていく聖域として、自然と人間の共生の場として、地域共同体が育まれてきたのだと思います。
 ところで、カミと読む漢字は、「神」「紙」「髪」「守」「上」の5つがあって、いずれもありがたいものを指す言葉であることに気づかされます。
 人間のやってきた故郷を知るために「上」へ「上」へとさかのぼっていきますと「神」にまで行き着きます。
 「守」は鎮守の森という言葉がありますように「神様」をお守りする場としての「森」を語源とする言葉のようです。
 「紙」は植物繊維を細かく砕いて水中に分散させ、これを簀ですくいあげて膜状に乾かしたもので、その象徴的なものが幣として“神酒”と共に「神」への供え物とされたと伝えられています。
 和紙の原料である楮、雁皮、三椏は“森”に由来していますね。
 “髪は女の命”としてこの上もなく大切にされたものですが、進化という観点からみると、「髪」は「森」に由来しているという説があります。「髪」を梳く、「紙」を漉くという表現もあって、どこか親近感が感じられるのではないでしょうか?
 「森」は聖なる水が湧き出るところです。人間が生きていく上で大切なものはすべて「森」を起源としているわけですから、「森」の保全なくして人間の未来はないと言っても言い過ぎではないように思います。

完全循環のモデルとしてのお伊勢さん

 お伊勢さんの森から流れ出た川は、養分をたっぷり含んで海にそそぎ込まれます。やがて気化した水は雲となり、雨となってお伊勢さんの森へ降り注ぎ、そして川となり・・・・・という風に、お伊勢さんには、自然の完全循環が息づいていて、生きとし生けるすべてのもののイノチを育み成長させていきます。これが未来永劫に続いていくのです。
 20年に一度、日本古来より伝わる神明造で、寸分たがわず神殿を建立し、伝統工芸の粋を尽くして整える―このような営みを、繰り返し、繰り返し行うことによって、日本人の記憶は伝承されてきたわけです。
 お伊勢さんを体験することによって、現代に生きる日本人の心に、自然の摂理そして宇宙の意思がよみがえるのではないかと思うのです。
 龍村仁監督は映画「地球交響曲第八番(ガイアシンフォニー)」において、「森は海の恋人」という著書で知られる畠山重篤さんの物語を描写されています。
 畠山さんは、気仙沼でカキの養殖をされているのですが、豊かな森があってこそ、プランクトンが豊富に生息する活力のある海が生まれる事に気づかれたのでした。
 畠山さんによって、“森が枯れれば海も枯れる、山の幸があってこそ海の幸がある”というイノチの連鎖に多くの人が気付かされたのでした。
 いま世界は大きな危機に直面していると言ってよいと思います。
 象徴的な出来事として、1989年、ニューヨークの空港でこんな事件がありました。 フィリピンのミンダナオ島の奥のジャングルに住んでいるサルを捕獲して、ニューヨークに空輸したとき、檻に入れられた猿たちは、体を血まみれにして死んでいたという事件がありました。
 フィリピンのジャングルで死んだサルは存在せず、森に比べて劣悪な都会の環境で強いストレスと共に生きることを強いられた猿がエボラウイルスに取りつかれていたということが明らかにされたのでした。
 諸悪の根源はウイルスではなく、自然界から遊離したストレスに満ちた人工的な環境にあるというわけです。
 森林の伐採、自然生態系の破壊、都市開発など、人類中心の環境づくりをこれ以上放置すると、人類は破滅の道を転がり出すことになることが懸念されます。

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