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バンクシアの響き

時代が急展開している今、
人間社会の新旧交代にまつわる出来事の本質をトータルヘルスデザイン 近藤洋一が考察します。

ニュートンのかご

筋肉、骨、関節などの運動器官に障害が起きた結果、立ち居振る舞い、歩行などの移動が満足に行えない状態におちいり、悩む人が増えていることにつきましては、「元気な暮らし5月号」でご紹介させていただきました。
 「ロコモティブ・シンドローム(運動器官症候群)」という名称がついているくらいですから、高齢化社会の今後を展望するとき、少しばかり気が重くなるテーマです。
 団塊の世代・800万人が75歳を迎え、高齢化率が30%になる10年後には、年間の死亡者数は150万人となり、赤ちゃんの出生数の2倍に上ることが予測されています。
 このまま何の対策も取らないと、病院が十分に機能しなくなることも予測されるというのですから、私たちにもそれなりの覚悟が必要になるのではないでしょうか?

「常識」を考える

ありとあらゆる地球規模の矛盾が噴出し、一体この先どうなるのか気になるところですが、私たちも、モノを中心とした唯物論的思考から脱皮していく必要があるように思うのです。
 古来、知恵ある人によって、「この宇宙には、すべてを創り出している“豊かさの場”が存在し、あらゆるものはそこから生み出されるのだ」ということが言い伝えられてきました。私たちは、モノ中心の唯物的思考にどっぷりつかるのをやめて、「いま・ここ」にある“豊かさの場”を視野に入れ、「思いが実現する・初めに思いありき」の唯識的思考へと、シフトしていく必要があると言ってよいと思います。
 もっと別の言い方をいたしますと、デジタル思考からアナログ思考へと重点を移すことが求められているように思います。自然はアナログなのですから。
 世間一般で通用している「常識」も変わらざるを得ないのではないでしょうか?
 「Common Sense(コモン・センス)」という英語を翻訳することによって、「常識」という言葉が生まれたのだそうです。それまで日本には「常識」という言葉は存在しなかったということですから、何か意味があるのかもしれません。「コモン・センス」はアメリカ独立戦争に先立って、トーマス・ペインによって発行されたパンフレットのタイトルで、合衆国独立の必要性を説き、独立の機運を高め、「独立宣言」を起草したトーマス・ジェファーソンにも影響を与えたと伝えられています。
 「コモン・センス」は直訳しますと、“共通の感覚”となりますね。日頃の暮らしの中で、多くの人に共有されている理屈抜きの生活感覚というイメージがあるのではないでしょうか?
 それに対し「常識」という言葉には、左脳的、論理的なイメージがあって、アタマでつくりあげた知識そのものという感じがして、あまり的確な訳とは言えないのではないでしょうか? かつての農業国・日本には「常識」という言葉がなかったことがうなずけるような気がいたします。
 いま時代を動かしている現代人の「常識」とは一体どういうものなのでしょうか? そのことについて考えてみたいと思います。
 私たち、昭和生まれの世代が受けた学校教育は、ニュートン物理学を基礎として組み立てられていたと言ってよいと思います。ニュートンは、地球が太陽の周りを回るのも、地球上でリンゴが地面へ向かって落ちるのも、同じ原理が働いているということを発見したのでした。ニュートンによって、宇宙に働いている物理法則も地球上に働いている物理法則も全く同じであることが解明された結果、この宇宙のことについて、未知の問題は何もないと考えられていたのです。

「ニュートンのかご」から出るとき

しかし20世紀になって、ニュートン物理学を超えた世界が見え隠れし、新しい科学が二つ誕生しました。
◆一つはアインシュタインによる相対性理論です。
 アインシュタインによって、エネルギーと質量は同じものであるという発見がなされ、有名な関係式E=Mc2が提示されました。原子核が分裂したときに放出されるエネルギーは、その時に減少した原子核の質量によってもたらされるということが明らかにされたのです。“質量とエネルギーは同じもの。質量は消滅してエネルギーとなり、逆にエネルギーから素粒子が創造される”ということが解明された画期的な業績だったのですが、この発見が原子爆弾の開発につながったのですから皮肉なものですね。
 アインシュタインについてはもう一つ、画期的な発見があります。皆既日食が起きた時、太陽の近くにみえる星の位置を観測したところ、予想された位置、すなわち太陽のない夜に観測される星の位置よりも少しずれていることがわかったのです。
 光が太陽の重力によって曲げられて、観測者からの見え方が変わったのでした。
 このことから、アインシュタインは「重力が空間を曲げるから、引力が働く」ことを明らかにしたのでした。ちなみにニュートンは、なぜ引力が働くかのメカニズムを明らかにしていなかったので、これは画期的な発見だったのだと思います。
 ◆ニュートン物理学を超えたもう一つの新しい科学、それは量子論です。
 かつて物質の最小単位は原子であると考えられていました。しかし原子には内部構造があるということ、すなわち原子の中心には原子核があり、その周りを電子がまわっているということは知られていませんでした。
 その原子核は陽子と中性子によって構成されていて、陽子と中性子もクオークという素粒子でできているということが解明されました。私たちの体も夜空を彩る星々も原材料はクオークという素粒子なのですから、みんな仲間ということになりますね。
 素粒子によって構成されている「ミクロの世界」は、私たちが学校で習ったニュートン物理学の通用しない世界なのでした。
 量子力学は、波動だと考えられていた“光”が粒子のようにふるまうことがわかったことから始まったと言われています。光の粒子である光子を一個、二つの穴が開いたついたてに向かって飛ばしてやると、不思議なことに、その光子は二つの穴を同時に通り抜けるということが観察されます。
 そこで今度は、その穴に向けて観測機をおいて観察すると、そんな現象は起こらなくなってしまいます。
 様々な実験事実から「人間が観察をすると、粒子か波動かわからない光の状態が崩壊し、粒子として観測される」ことが解明されたのです。
 不思議なことですね。観測という行為によって、いままでどこに存在しているのかわからなかった粒子の位置が明確に確定するのですから。
 ニュートン物理学では「初期条件によって結果が決まる」のが原則です。投手が打者に向かってボールを投げたが最後、そのボールはどこに行くか決まってしまいます。観察することによってボールの状態が変化することはありませんね。
 従来の物理学では、「こころ」の入るべき場所はなかったのですが、量子論の場合はそうではないという提起がなされているのが現状です。
 21世紀、“意識と物質の相互作用”が大きなテーマとしてクローズアップされることになるのだと思います。
 ちなみに猪俣修二博士は、この宇宙の究極の要素は“意識”であり、“物質”と“エネルギー”は“意識”から生じるとして、複素電磁場理論を提起されています。