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バンクシアの響き

時代が急展開している今、
人間社会の新旧交代にまつわる出来事の本質をトータルヘルスデザイン 近藤洋一が考察します。

11月 手作り酵素(3)

国民総幸福量

20世紀、先進諸国は、物質的な豊かさを表す国民総生産(GNP)という指標を国家発展の尺度として、経済成長にしのぎを削ってきたように思います。それに対して人口約70万人の佛教国ブータンは、よりたくさん消費することが、より幸福をもたらすとは限らない、精神的な豊かさこそ大切なのだという信念のもとに、国づくりの根本理念として国民総幸福量(GNH)という指標をかかげて現在に至っていることで有名です。

ブータン首相のジグミ・ティンレイさんは、「私たちは人間であってエコノミック・アニマルではない。物質的な強欲さにとらわれることなく、精神的な充足を心がけ、消費を抑えよう」と国民に呼びかけていると伝えられています。

しかし現実は厳しく、国づくりは必ずしも順風満帆というわけではありません。全世界を覆うグローバル経済の影響を受けて、人々の欲求も大きくなり、自動車や建材の輸入が急増していると伝えられています。国民の多くが農業に従事しているにもかかわらず、外国から野菜を買っているというおかしな現実もあるとティンレイ首相は語っています。

2005年に「あなたは幸せですか?」と聞くと、回答者の97%の人が「とても幸福」と答えていたそうなのですが、2010年にこのような主観的な質問の他に客観的なデータに基づいて同じ調査をしたところ、「幸福」と判断された人は41%だったそうです。

産業が未成熟なブータンは国家予算の40%を外国に頼っているという現実があります。ティンレイ首相は「まだまだ多くの課題をかかえているのですが」としながら「私たちは幸福を達成した国ではありません。他の途上国と同じようにもがいています。

しかし私たちは自分たちがどこに行きたいのかを知っています。私たちは、自分たちの文化や価値観を守り通してきました。急ぐことなく人間性を大切にしながら・・・」と述べています。

 

日本はどこへ行くのか?

1945年終戦を迎え、廃墟から立ち上がり、ただひたすら、とどまることを知らない物質的欲求に突き動かされて経済成長にまい進した日本ですが、1990年、ついにバブルがはじけるに至りました。

それから20年、物質的な欲求を追い求めて幸せになれるというのは幻に過ぎなかったことに多くの日本人が気づいて、いま新しい時代のあり方を真剣に考えざるを得ない現実に直面しています。

ブータンに習って国民総幸福量という指標をとり上げる必要が出てくるのかもしれません。

たとえば、@主観的な満足度 A精神的な幸せ感 B自然環境とのかかわり方 C地域社会との文化的なかかわり D近隣の人との人間関係 E生活水準 F教育のあり方、かかわり方 G美しく健康な心身・・・などなど、全国民を網羅しようとすると数多くの指標を総合する必要があるように思われます。

ブータンでは経済的な成長を遂げることもなく、多くの人が幸福感をもっているのですから、日本という国はずいぶん無駄なことをやってきたようにも思われます。

国民総生産ではなく国民総幸福量という指標に基づいて、幸福な国・日本をつくり上げていく上で必要なことは何なのでしょうか?